SENBA VOGEL

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KORETTEBA AGENCY
マサイの戦士とアンボセリ国立公園

マサイの戦士とアンボセリ国立公園

タンザニアのアンボセリ国立公園でアフリカゾウ・ライオン・ダチョウ・ハイエナ・ハゲワシ・トムソンガゼルなどなどの野生動物に会い、マサイの戦士にも出会った。

アカシアの木

キリマンジャロ登山後に自分へのご褒美として「サファリツアー」を計画していた。
本音は無事登頂を出来た安堵感と披露の為、楽しみな気持ちは半減していた・・・半ば楽しめる体力とテンションが自分には残っているのか???と不安さえよぎった。
ナマンガの国境を超えてケニアのアンボセリ国立公園に向かう途中。
ようやく落ち着きが自分の中で出てきた。そして黙々と運転するドライバーと挨拶を交わす。

羊

外の景観は、街並みから草原へと変わり歩く人間はマサイ族のような人が増えてきた。
もうここは、国立公園内なんだろうか???
英語ができないんでうまく聞けない・・・車には僕一人しか乗ってない。今まで幾度と無く現地アフリカ人が乗合バスに途中から乗り込んで来て知らない間に満タン状態になっていた事を思い出す。

シーンとした車内にしびれを切らせたのか、運転手が流暢な、でもゆっくりした口調で子供に言い聞かせ得るように尋ねてきた。
「あいのりを知ってるか?日本のTVだ。ヒデ・・・ジュンペイ・・・」
「逆になんでしってるんだ?」と問う。
あぜみちでタイヤが時々取られる中タイミングを見計らい半身を乗り出し、ゆっくりした口調で
「おれがそん時の運転手だ」
「・・・・・えええええええ!まじで!ファンタスティック!」
そう、この日本人にとってはまるで映画のロケ地バリの価値観があるドライバーに僕は2日間、しかも独占でゲームドライブをしてもらえるのだ。
ドライバーの名はブラウン!

車内

あいのり ブラウン

おっさん2人を乗せたラブワゴンがアンボセリ国立公園のゲートをくぐる。
はじめに目に飛び込んできたのは、ただただ真平らでただただ広い大地だった。
マンガやテレビで見る光景と同じでどこか懐かしい趣すら感じる。この風景はきっと少学校の時に見る動物図鑑やマンガのイラストそのものが今でも変わること無く残っているのだと思った。
日本教育とやらはえらい遠く身近でないものを教えていることに気づく。

ゾウ

ここでは、動物が主人公で逆動物園状態なのだ。シマウマは警戒心の強い動物で最初にここに入ってから出会った動物だった。そのあと、マサイキリン・ライオン・ダチョウ・多くのアフリカゾウ・サギ・トムソンガゼル・ハイエナ・ハゲワシ・カバ。どれも時間の流れがゆっくりしつつも凄いたくましさを感じる。
キリマンジャロを背に夕日に染められたアカシアの木を自慢の首を伸ばし食事を楽しむキリン。毎日決まったルートを果てしなく一定のペースで歩き続けるアフリカゾウの家族。
どれも、当たり前で不思議な光景にただただ来てよかったと思っていた。

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夕日

ブラウンの見事な腕前で、アフリカの大地を堪能。
そんなブラウンから
「マサイ村に行きたいか?」
「行きたい」
「1人だけどいいのか?」
「いい」
「チップはあげろよ」
「有り金全部渡すつもりだ」
「OK」

マサイ族

マサイマラに行かなくてはこんな体験ができないと勝手に決めつけていたので、この展開にテンションが上がる。
地平線と同化したマサイの村が見えた。
ブラウンは村長らしき戦士に迎えられ何か話してる。聞こえてもスワヒリ語なんでわからない・・・
ブラウンに呼ばれ、村長らしき男に英語で説明を受ける。聞き取りにくいがこれは僕の英語スキルの無さのせいだと気づく。

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歓迎と見られるマサイの詩とダンスが始まった。僕一人にめがけて。
約5分、何度も後退りしそうな圧迫感と緊張感が襲ってきた。間違いなく彼らのDNAは戦士だ!
そんな感覚にどんどんはまっていく。
自然の音と彼らの歌声しか聞こえないはずなのに、耳にするこの感覚は楽器の波長に似ている。まるで日本のお経のようにも聞こえる。
そのせいか、シンパシーすら感じてきた。
5分の儀式が長くしかし貴重にすぎていった。

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その後、次のステップの歓迎の儀式が始まり、そこでは主要なメンバーが僕のためにお祓いをしてくれるようだった。
昔ながらの方法で火をお越しお酒を酌み交わす。ただしお酒に関しては、
「お前のストマックが終了してしまうから、変わりにこの枝が身代わりだ」
ってな感じで、ある程度この時点で僕のような観光客がここを訪れている事に気づく。

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儀式がひと通り終了し、マサイ村を案内してくれた。部屋にも招待された。その間大量のハエが僕を伝う。
気にしてられない数のハエに付けられていることも、永遠に続く雲の波の下でマサイ村を歩いていることも自然に受け入れられる。

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目に見えない、言葉に出来ない、自然の立体的な仕組みがぼんやり美しく見える。
アフリカという土地にやられつつも、はまってしまう旅でした。

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2011年10月 4日 17:49